- なも
- I
なも(係助)〔上代語〕係助詞「なむ」に同じ。
「あやしく奇(クス)しく麗はしく白き形を~見喜べる/続紀(神護景雲三宣命)」「何時は~恋ひずありとはあらねどもうたてこのころ恋し繁しも/万葉2877」
〔主として散文に用いられ, 万葉集には一例のみ〕IIなも(助動)〔上代東国方言〕推量の助動詞「らむ」に同じ。「うべ児なは我(ワヌ)に恋ふ〈なも〉立と月(ツク)のぬがなへ行けば恋ふしかる〈なも〉/万葉 3476」「比多潟の磯のわかめの立ち乱え我をか待つ〈なも〉昨夜(キソ)も今夜も/万葉 3563」
〔連体形は係助詞「か」の結びとして用いられる。 推量の助動詞「らむ」に相当する上代東国方言には, 別に「なむ」の形もある〕→ なむ(助動)IIIなも(終助)〔終助詞「なむ」の古形〕終助詞「なむ」に同じ。「三輪山を然も隠すか雲だにも心あら~隠さふべしや/万葉 18」
〔上代の語であるが, 万葉集でも, すでに「なむ」のほうが多く用いられる〕→ なむ(終助)IVなも(終助)軽く感情を添えていう。 ね。「済まぬぞ~と出で来たり/雑俳・指使編」
〔現在でも尾張・長野・会津地方などで用いられる〕Vなも【南無・南謨】「南無(ナム)」に同じ。「~と拝み奉れば/栄花(鳥の舞)」
Japanese explanatory dictionaries. 2013.